新米事業主はじめの一歩【国税庁HPで税務調査を調べたら?】

昨日の記事で、個人事業主は税務調査の可能性がゼロではないと言いましたが、実際のところ、どれくらいの可能性があるのかについて、参考までに調べてみました。

すると・・・。

国税庁HPでしっかりと、その内容が記載されています!

ホーム>活動報告・発表・統計>報道発表資料(プレスリリース)目次>平成28事務年度における所得税及び消費税調査等の状況について を一度ご覧下さい。

所得税の調査概要

私たちがイメ―ジする税務調査は、実地調査のことを指すようですね。

この表では、平成28事務年度の実地調査は7万件となっています。若干古いですが、平成24年度経済センサスのデータでは個人事業主が217万人なので、この数値をもとに実地調査の比率を計算してみると、3.2%。そして、簡易な接触まで含めた場合は、29.8%にもなります!

さらに、非違件数の内訳が不明ですが、もし実地調査の実施件数のすべてで非違があったと仮定すると1件あたりの追徴税額は平均約117万円になります。なかなか厳しいですね。

また、簡易な接触も、簡易といいながら、税務署側にとってなかなか効果をあげているようです。申告もれ等の非違がなかった件数24.7万件がすべて簡易な接触から発生したと考えると、簡易な接触57.7万件のうち半数を上回る33万件で申告もれがあり、約293億円の追徴税額が発生しているということになります。

つまり、税務署から所得税についてお電話や文書が来てしまった場合、約半数が申告もれで平均89,000円弱の追徴税を納付している、ということがわかります。

マークされている業種

国税庁のHP画面を掲載します。申告もれが高額な業種を絞って、マークしていることがよくわかりますね。

風俗業やキャバレーの上位は動かないとしても、近年は個人事業主としての運送屋やプログラマー、設備工事屋が目につきます。昨今の物流業界の人手不足により、個人運送屋はとても忙しいでしょうが、申告もれがみられる業種として目をつけられていることもあり、適正な申告を意識しておいたほうがよさそうです。

積極的な調査の対象となっているインターネットビジネス

国税庁が調査の内容を報告するのは、国民に対する報告ということもありますが、それより、同様の状況にある個人に対し、注意喚起と抑制効果を狙っている、ということにあろうかと思います。さらに、驚くのは、平成29事務年度において積極的に税務調査を行っていく対象を明言していることです。その対象は次の4つです。

①海外投資等を行っている個人

②いわゆる富裕層

③無申告者

④インターネット取引をおこなっている個人

もしかすると、個人事業主の皆様の中には、③や④を対象としていることについて心中穏やかではならぬ方もいらっしゃるかもしれません。特に④について、国税庁のHP画面を掲載します。

「税務署がわかるはずないだろう」なんて心の隅でお考えの個人事業主の方がいらっしゃいましたら、ぜひ、この国税庁の記事をご覧になっていただきたいものです。文言は穏やかですが、国税庁の強いお考えが感じられます。インターネットで商売をされている個人事業主の方々は十分ご留意ください。

まとめ

 国税庁HPの情報から推定される個人事業主の実地調査の可能性は3.2%。簡易接触まで含めると29.8%。

● 特に、運送業、設備工事業、プログラマーの業種やインターネットビジネスに携わる個人事業主は、税務調査の可能性が高いと見込まれる。

新米個人事業主の皆様は、確定申告をいたずらに恐れる必要はありませんが、軽く見てもいけないわけです。緊張感もって、取り組んでいきましょう。