昨年、子育てママのためのマネー講座で「投資」などを取り上げた際に、iDeCo(個人型確定拠出年金)について、NISA(少額投資非課税制度)とともに話題にしましたが、ここにきて、特にその加入の必要性を感じています。
というのも、年金生活となったシニアの家計では、若いときと違って、管理のやりようがないことを実感するからです。
何より、収入の幅が限られています。主な収入は年金。
シニアの活躍場所は広がってきてはいますが、若い時のように稼ぐということはなかなか難しい。
なので、もっぱら支出のほうで管理することになる。
現役時代の7割の生活費とし、年金収入でやりくりしていくことになります。
でも、思いがけないのが、「介護」ですね。
元気で若いうちは気が付きにくいのですが、誰もが高齢になると、介護のお世話になる可能性が高いこと。そして、いったん介護を受けると介護費用負担が大きく、介護保険があったとしても、貯金を取り崩していかないとやりくりが厳しいということ。
特に女性は、健康寿命74.79歳と平均寿命87.32歳の間は約13年間もあります。
小学校に入学した子どもが高校卒業するまでの期間と同じくらい長い!!
子どもの教育や住宅ローン、毎日の生活のやりくりで追われている子育てママも、今のうちから自分のこととして老後資金を考えておいたほうがいいと思うのです。
基礎年金と厚生年金の給付だけでは限界がある
年金は、国民全員加入の基礎年金(1階部分)、サラリーマンが加入する厚生年金(2階部分)そして企業年金(3階部分)から構成されています。
この基礎年金(1階部分)と、厚生年金(2階部分)の給付額ですが、男性の平均受給額は月額16.5万円だそうです。妻の基礎年金を月額6万円としてこれを足しても、月額22.5万円です。結構厳しいのでは?
時々見かける年金収入の多い方は、企業年金(3階部分)があるかどうかということが大きな差になってきているように思います。それも、充実した企業年金かどうかということ。
そういえば、昔、退職給付会計が導入されたとき、多くの会社が企業年金について、突然思いがけない金額の退職給付債務の存在を突き付けられ、決算書への計上をめぐって悩んでいましたっけ。
これが、その手厚い企業年金だった、というわけですね。
でも、その後、企業年金が会社の財政に与える影響や人材の流動化という時代のニーズにあわせて、会社も確定給付年金から401k(確定拠出型年金)へ移行させるという動きがそれなりにあったように記憶しています。
平成30年の資料によれば、厚生年金被保険者に占める企業年金加入者等の割合は38.2%。
では、その残り61.8%は…?
やはり、政府としては、iDeCoとNISAを用意してありますから、今のうちから自衛して財産形成してください、
そして、妻も稼いで厚生年金に加入し、自分の厚生年金を確保しておいてください、ということなんでしょうかね…。
投資の機会
ネット証券で新規口座を開設する個人が増加しているそうです。
今年3月の株価急落が投資を始める好機となった、在宅勤務により日中の取引がしやすくなったなどの要因によるものだそうですが、iDeCoで扱う投資商品も増えていますし、投資の性質を理解して適切に利用していくことは、財産形成だけでなく世の中の理解につながるはずです。
非課税等の恩典
もちろん、掛金払込時の所得控除や運用益非課税、受取時の雑所得の公的年金等控除など所得税の恩典がいくつもありますから、これからの恩典を多いに受けておきたいですね。
確実に老後資金を確保できること
そして…
iDeCoの一番大事なことは、60歳(あるいは一定の年齢)まで引き出せない、ということです。
長い人生、たとえ自分の老後資金として貯蓄していても、色々な事情で引き出してしまうことがあったりするものです。
子どもへいい教育を受けさせたいとか。
どうしても買いたいものがあったとか。
結果、気が付いたら自分のための財産が残っていない。
遠い将来のことや、女性の場合自分の老後についての優先順位は、どうしても後回しになってしまいがちです。
専業主婦であれば、夫に自分の家事育児に貢献している部分を理解してもらうためにも、掛金の払込負担をお願いしてもいいのでは。第三号被保険者は基礎年金しかもらえないわけですし。
もし、どうしてもiDeCoへ回すお金がない、というときは掛金の変更(最低5,000円)や停止することもできます。
子育てママこそ、iDeCoを細く、長ーく続けてほしいと思っています。
もちろん、iDeCoは投資ですから元本が保証されているものではないことを忘れずに、どのようなリスクとリターンがあるか、しっかりと勉強してから加入してください。
いつか、忘れたころに、iDeCoに入っていて良かったと思えるときがくるはず…そう願っています。