今日でちょうど2020年の上半期が終わります。
年初めには、思ってもみなかったコロナ禍により私たちの生活が大きく変わりました。
あたり前と思っている毎日が、あたり前でなくなる。
こんな経験は初めてです。
でも、私たちの知恵や私たちが築き上げてきた社会の仕組みが、当たり前の生活を守ろうとしてくれている。乗り越える道筋を見つけていこうとする動きは止まっていない。
うれしいことですね。
私も、この社会の中で自分の役割を果たしていこうと思っています。
はしもと会計事務所は今年で開業3年を迎えます。
地元に愛される会計事務所を目指し走ってくる中で、「こうしたい」「ああしたい」という考えが少しずつ育ってきました。
そこで、その考えをカタチにしたホームページにしようと思います。
今日は、リニューアル前のホームページから、改めて今の考えを整理してみます。
相続について考えてみる
この世に生まれてきた人は、いつかはその人生を卒業します。
生涯にわたって得られた財産をどのように次世代へバトンタッチするかという問題は、誰もが避けられない「課題」である、そう考えていたのですが…。
ここにきて、そうではないかも、と思い始めました。
というのも、社会学者 春日キスヨさんの「百まで生きる覚悟」という本がきっかけです。
この本では、以下のように述べられています。
-私たちの老いは、本人の期待に反し、死に至る過程で厳しい期間を経ることがとても多い。
-そのためにも、長寿時代を生きる『身じまい』について、誰もが意識し対応しておきたい。
「自分の健康」についてより関心を持つようになるシニア世代でも、老いの厳しい期間については考えない、関心を持とうとしない現状が示されています。
どうして?
でも、自分に置き換えて考えてみたら、どうでしょう。
自分のつらい姿なんて想像したくない。
自分がいなくなったあとのことなんて、どうでもいい。
気がかりではあるにしても、想像もつかないことだし、考えるのをやめてしまおうとする自分がいます。
年齢を重ねても、きっと同じことですね。
実際、そうなんです。
冷静に、切実に、相続のことを考えるのは「子」世代になってしまうのです。
相続の相談に来られる方も、「子」世代が多いです。
もちろん、相続は法律なので、難しいと思える部分が少なくないため、シニアの方にとっては理解することの負担が大きい。若い世代のほうが早く、正確に理解が進む、ということはあるかもしれません。
人生の最後まで、自分の財産の主人公
それにしても、相談を受ける立場からすると、ご自身の財産なのに「本人」が直接相談に来られることが少ないのはなぜだろう?と思ってしまいます。
もしかすると、お金や財産に関することはプライベートなことであるから、そうそう口に出すものではないというお考えの世代なのかもしれません。
あるいは、年齢を重ねるにつれて関心の対象や範囲が、いつもの生活を送ることでいっぱいになり、それ以外のことを考える余裕がなくなってきてしまうのかもしれません。
でも。
人は誰もが、自分の人生について、最後まで主人公でありたいと願うのと同じように、
自分の財産の使い方や行方を決めることについても、最後まで主人公でありたいと願うものではないのでしょうか?
もしもそうでないとしたら、いつから関心を失っていくのでしょうか?
お客様の相続や遺言書のない遺産分割を検討するときに、いつも考えてしまいます。
財産を残されたご本人は、その財産に何を期待していただろう。
ご本人が願っていた結果を導きだせますように…と。