新米事業主はじめの一歩【個人事業主に税務調査はあるの?】

サラリーマンと個人事業主の税金納付の違いは、サラリーマンの場合、勤務先が税務上のルールに従って税金計算とその納付を代行してくれるのに対して、個人事業主は、自らが税務上のルールに従って申告納付しなければならないということにありましたね。

ところで、税務署は、課税の公平の観点から、常日頃より納税者が税務上のルールを守って税金計算し納付しているかについて、提出された確定申告書や支払調書等の情報からチェックしています。そして、さらに、納税者本人へ具体的に質問や帳簿を検査して調査する方法として「税務調査」があります。

つまり、年末調整で終わりというサラリーマンでない限り、確定申告を行う個人事業主は、自分が「税務調査」の対象となる可能性がゼロではないことに留意しておくべきでしょう。

税務調査とは

税務調査は、調査官が納税者に質問し、保管されている帳簿や根拠資料の内容を確認したうえで誤りがあれば、これを修正するよう指導を行うことにあります。

抜き打ちによる調査ということや悪質な場合加算税というペナルティもあります。税務署側も、こうした行為を行うには悪質と受け止めるだけの十分な論拠を持っている場合に限ります。

通常は、事前に調査日時の打診があります。

ですので、個人事業主がきちんと税務上のルールを守っていること、そしてその説明ができるということが不安を解消する方法です。そして、日ごろより税務調査の対象にならないような行動を行うとともに、万が一税務調査の対象となった場合には、相手の意図を知って冷静に対処する、に尽きるといえます。

個人事業主における税務調査の争点とは

そうはいっても、調査官がどのような観点から調査するのかは気になります。

調査官は、所得が少なくなっていないか、すなわち売上が少なくないか、または必要経費が過大になっていないかの観点から調査を行います。

①売上

期末近くの売上が翌年回しになっていなか。売上の一部が抜かれていないか。

②仕入・必要経費

在庫の棚卸高が過大になっていないか

経費が過大に計上されていないか

特に、個人部分と事業用部分との境界がグレーな経費については、事業用への分け方が合理的で、その内容が説明できること。飲食や交通費などはしっかり領収書が保管されており、事業用必要経費としての説明ができること。人件費についても、架空で計上しないこと。

こうした点に留意しておけば、そんなに心配はいりません。

そして、もう一つ覚えておいてもらいたいのは、税務調査の「指導」は、税金が過小である場合にのみ指摘するということです。間違って所得を多く申告し納税し過ぎたとしても、何も言ってくれないのです。

まとめ

● 個人事業主であっても、税務調査の対象になる。

● 税務調査のポイントは、売上の過小計上と経費の過大計上。経費は、個人用と事業用にまたがる家事関連費を合理的に説明できること。その説明資料を残すこと。架空人件費を計上しないこと。

個人事業主は自分の所得を自主申告するので、どうしても過小に申告してしまいたくなりますが、税法は、私達国民が税負担を公平にするよう決めたルールです。(反論があるかもしれませんが…。)税務調査もありますし、適正な申告を心がけましょうね。